骨粗鬆症の薬物療法、食事|江戸川区の葛西駅前あおぞら整形外科クリニック

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骨粗鬆症

骨粗鬆症の薬物療法、食事|江戸川区の葛西駅前あおぞら整形外科クリニック

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症の骨

骨粗鬆症とは、骨の密度が低下してスカスカな状態になり、骨がもろくなっていく病気です。かるい衝撃で骨折したり、自分の体重で骨がつぶれる圧迫骨折で背中が丸まったり、身長が縮んだりします。

女性ホルモンの影響から、特に閉経後の女性に発症しやすく、60代では2人に1人、70代では10人に7人の割合で骨粗鬆症になるといわれています。日本国内には予備軍も含めると、現在2000万人程度の患者さんがいると想定されます。

骨粗鬆症の怖いところは、大腿骨や背骨の骨折を生じてしまうと10%程度の人が”寝たきり”になってしまうということです。介護を必要としない自立した生活を長く送るためにも、早期に発見し予防していくことが大切です。

当院では、血液検査(骨破壊と骨形成の進行を細胞レベル測定)と骨密度検査装置(腰椎・大腿骨)で、より的確に骨密度を測定することができます。お気軽のご相談ください。

骨粗鬆症とホルモン

女性ホルモンは骨の代謝を調節していますが、女性の場合、閉経によって減少すると骨粗鬆症を発症しやすくなります。これを閉経後骨粗鬆症といい、女性に最も多くみられる病態です。このほか、副甲状腺や甲状腺などの内分泌疾患と関係して起こるものもあります。

副甲状腺は、副甲状腺ホルモン(PTH)を分泌し、カルシウム濃度と骨代謝を調節しています。PTHは骨を破壊してカルシウム濃度を高めますが、過剰であると骨を破壊し過ぎてしまいます。このPTHが過剰になる副甲状腺機能亢進症は、骨粗鬆症の原因の一つとして知られています。また、過剰な甲状腺ホルモンの作用も骨密度の低下をもたらすといわれています。

骨粗鬆症の主な原因

骨粗鬆症は骨強度(骨の強さ)が低下して骨折しやすい状態になりますが、この骨強度は、骨量の指標となる「骨密度」と骨構造などの「骨質」の要因によって決まります。女性の骨量は、成長期に増加し20歳頃に最大骨量に達します。40歳代に入ると卵巣機能が衰え始め骨量が減少してきます。閉経前後の50歳頃からは女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に低下し、さらに骨量の減少をきたします。

エストロゲンは、破骨細胞(古い骨を吸収する細胞)と骨芽細胞(新しい骨を作る細胞)の両方に作用します。閉経に伴いエストロゲンが欠乏することで、破骨細胞による骨吸収が亢進して骨量が減少すると考えられています。

また、ダイエットや偏食(カルシウム摂取不足)・運動不足・日光照射不足・喫煙・過度のアルコール摂取などの生活習慣も骨粗鬆症の原因となります。

生涯を通じての骨粗鬆症の予防は獲得する最大骨量を多くして、骨量減少を最小限にとどめることを基本とし、生活の中で除去できる危険因子を早期に取り除くことといえます。

骨粗鬆症の診断

骨粗鬆症の診断は、骨粗鬆症に特徴的な脆弱性骨折(ご本人が自覚していない骨折)の有無、および骨密度の数値などを参考にして行います。

診断がつけば、他の疾患が原因となっていない原発性骨粗鬆症なのか、あるいは疾患が原因となっている続発性骨粗鬆症なのかを鑑別し、その結果をもとに治療方針を検討します。

診察の流れ

1

問診

問診では骨粗鬆症に関して質問します。食事や運動、飲酒・喫煙などの生活習慣や、これまでの骨折および病気の既往、骨粗鬆症の原因になりうる薬剤の使用歴、年齢や閉経の時期などをうかがいます。これらは診断するうえで大切な手がかりとなります。

2

身体診察

身長と体重、背骨の変形、背部痛の有無などについて確認します。25歳頃の身長と比べてどの程度縮んでいるかということも、診断するうえでの指標になります。

3

レントゲン検査

せぼね(胸椎や腰椎)のX線写真を撮り、骨折や変形の有無、骨粗鬆化(骨がスカスカな状態なること)の有無を確認します。他の病気と区別するためにも必要な検査です。

4

骨密度検査

骨密度は骨の強さを判定するための代表的な指標です。骨密度検査では骨の中にカルシウムなどのミネラルがどの程度あるのかを測定します。

DEXA(デキサ)法(骨密度検査)

波長の異なる2種類のX線を用いてその吸収率の差から、骨密度を測定します。全身のほとんどの骨を測ることができます。一般的に腰の骨(腰椎)や足のつけ根(大腿骨近位部)の骨密度を計測し数値として表します。若い人の骨密度の平均値と比較し、自分の骨密度が何%であるかが示されます。現在、骨粗鬆症に関して最も精度が高い検査と考えられています。

骨粗鬆症は痛みなどの自覚症状がなく、発症し進行するケースがほとんどです。背中や腰に痛みを感じたり、身長が縮んだりといった自覚症状が出た時にはかなり症状が悪化していることがあります。早期の診断と治療がとても重要です。骨密度検査は、骨の健康を知るうえで重要な手がかりとなります。とくに女性は症状が無くても、40歳を過ぎたら定期的な骨密度検査をお勧めします。

薬物療法について

骨粗鬆症と診断されたら、お薬を使って骨密度の低下を防いでいく必要があります。骨粗鬆症はタイプによって治療に用いる薬剤が異なります。
骨粗鬆症は骨を新しく作る「骨形成」と古い骨を溶かす「骨吸収」のバランスが崩れて起こるため、このバランスを整える薬や女性ホルモン製剤の投薬、注射などで治療していきます。

閉経後で骨折リスクが高い(骨密度が低い)方は、選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM:selective estrogen receptor modulator:エストロゲンを補う薬剤)やビスホスホネート製剤・抗ランクル抗体(骨の吸収を抑える薬剤)が用いられます。骨折リスクの低い方には、活性型ビタミンD3製剤・カルシウム製剤・SERMを用いるケースが多くなっています。

治療中にもかかわらず、骨折してしまったなど非常にリスクが高い方は、PTH製剤や抗スクレロスチンモノクロナール抗体製剤が用いられることがあります。最近では、作用機序の違う薬剤の併用療法も骨折リスクを減らすことが分かってきました。患者さんの年齢や病態に応じて治療薬を選択します。

食事

骨密度を増加させるためにはカルシウムの摂取とともに、カルシウムの吸収を促進するビタミンDや、骨へのカルシウムの取り込みを助けるビタミンKなどの栄養素も必要です。エネルギーと栄養素を過不足なく摂取することがポイントになります。

カルシウム

牛乳・乳製品は、カルシウムの含有量が豊富なだけでなく、吸収率もすぐれています。適量の牛乳・乳製品を積極的に摂りましょう。カルシウム摂取量を増やす工夫として、小松菜などの緑黄色野菜、ひじきなどの海藻、豆腐などの大豆製品なども取り入れると良いでしょう。

例)牛乳・チーズなど乳製品、小魚、小松菜・モロヘイヤなどの野菜類、豆腐や生揚げなどの大豆製品 等

ビタミンD

ビタミンDは骨量を保つうえで重要な栄養素で、食事と日光(紫外線)から体内に供給します。魚類やきくらげなどの食品を意識して摂りましょう。ビタミンDは日光が皮膚に当たることで活性化します。手や足に1日30分から1時間程度、日光を浴びるだけでも効果が期待できます。

例)イワシの丸干し・さんまなどの魚類、干ししいたけ・きくらげなどのキノコ類 等

ビタミンK

ビタミンKは納豆や海藻類などに含まれています。これらの食品を毎日の食事にバランスよく取り入れましょう。例)モロヘイヤ・小松菜などの野菜類、納豆、抹茶 等

運動

運動不足は骨密度を低くださせる要因の一つです。適度な運動は骨に圧力がかかり、その刺激が骨の形成を促進します。運動には3つの効果が期待できます。

  1. 運動の衝撃や負荷によって骨の細胞が活性化され、骨量が増加しやすくなります。
  2. 筋力やバランス感覚を鍛えることで転倒を防ぎ、骨折のリスクを低減させられます。
  3. 屋外で運動することで日光を浴び、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを皮膚で作ります。

日常のなかに散歩や階段昇降などの運動を習慣として取り入れましょう。また、運動は転倒予防にも重要な役割を担っています。運動不足は筋肉量の低下を起こし、転倒リスクが高まります。転倒は高齢になるにつれて発生頻度が増加しますが、転倒により大腿骨頚部を骨折してしまうと寝たきりの生活を余儀なくされます。

いずれも激しい運動は必要ありません。ラジオ体操や汗ばむ程度の散歩・階段昇降・グランドゴルフなど無理のない運動を継続し、骨と筋肉の健康を維持していきましょう。

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